ありがたいと思うべきか

 葬式というのは意外と淡々と事が進んでいく。時間が空くとすぐに感傷的になってしまうので正直僕にはありがたい。ただ僕が働き始めて、これからやっと今までの恩が返せると思ったのに結局間に合わなかったことが悔やんでも悔やみきれない。最期に話したのはゴールデンウィークに帰省したときだ。たいした話をしたわけでもない。ただ会社はどうだとか寮はどうだとか、そんな他愛もないことだ。こんなに早く逝くこともないじゃないかと思う。そうなってから手遅れだったことを後悔する。思えばいつも後悔していた気がする。そこから何も学んでいない僕はきっと同じ過ちを繰り返すのだろうと思いながら、いまはただ、
 お疲れ様でした。ゆっくり休んでください。
と伝えたい。